句動詞の基本形とは?理解のコツはこれだ!

1. 句動詞とは何か
2. 句動詞の基本的な形
3. 句動詞の目的語の位置が変わる理由
4. 意味を推測するコツ
5. おすすめの参考文献

 私の教員生活で最もよく質問されたトピックの一つが句動詞でした。句動詞は多くの生徒にとって数も多いし覚えにくいのが理由のようでした。
 かつては群動詞と呼ばれましたが、句動詞は私も覚えるのが苦手でした。
 ある英語の歴史の本(Baugh, Albert C., A History of the English Language)によれば、19世紀とその後に、動詞と副詞の句動詞が急速に増えた、とあります。
 19世紀より以前は、句動詞に頭を悩ます必要はなかったようです。
 句動詞は一般的にカジュアルなイメージを与える表現です。日常会話では句動詞がよく使われますし、学術文ではラテン語系動詞が好まれるからです。

 「火を消す」を句動詞で表現するとput outですが、1語で表すとextinguishです。
 あなたが、たばこを吸っている友達に、Please extinguish your cigarette.と言えば、さしずめ日本語では「たばこを鎮火してください」のような固い表現になります。
 そんな堅苦しい表現を連発する人と友達になりたいでしょうか。

 このような場合、Please put out your cigarette.(たばこの火を消してください)が、よりふさわしい表現です。
 外国人と円滑にコミュニケーションをして、深い関係になりたいなら、句動詞をマスターした方が良いでしょう。

 

1. 句動詞とは何か

 

 ところで、句動詞とは何でしょうか。
 人によって、定義が異なりますが、「それぞれの語の意味から意味を推測できない2~3語の動詞句」としておきましょう。
 例えばsit on the bench(ベンチの上に座る)はsit(座る)+on(~の上に)=~の上に座るとなります。

 この場合、動詞と前置詞、それぞれの意味から、意味が推測できます。
 しかしcome up with a good ideaはどうでしょうか。

 come(来る)、up(上に[へ])、with(~と)からcome up with(~を思いつく)という意味はでてきません。
 これを、言語学的には不透明といいます。それぞれの語から推測できる場合は透明といいます。
 
2. 句動詞の基本的な形

 

 さて実際に、句動詞の形はどのようなものがあるでしょうか?以下に列挙していきます。

  • 動詞+副詞
  • 動詞+前置詞
  • 動詞+副詞+前置詞

句動詞は、2語か3語の句であり、動詞と副詞か前置詞、または動詞と副詞と前置詞でできています。
 5文型から見ると、

  • 自動詞or他動詞:動詞+副詞 例:He showed up at the party late. 
                                                             (彼はパーティーに遅れて現れた)
                                                               She turned off the light. 
                                                              (彼女は電気を消した)

 

  • 他動詞:動詞+前置詞+名詞=目的語 例:We must get over this difficulty. 

                                                                    (私たちはこの困難を克服しなければならない)

 

  • 他動詞:動詞+副詞+前置詞+名詞=目的語 例:I ran fast to catch up with him. 
                                                                              (私は彼に追いつくために速く走った)
                                                                                        I look forward to the party. 
                                                                          (私はパーティーを楽しみにしています

 

 動詞+前置詞+名詞は、自動詞と見ることもできますが、動詞+前置詞の塊を他動詞としておきます。
 
3. 句動詞の目的語の位置が変わる理由

 

 実際に英語を使う上で、問題になるのは他動詞の動詞+副詞です。動詞+目的語+副詞になったり、動詞+副詞+目的語になったりするからです。
 主に、動詞+目的語+副詞の形になるのは、目的語が代名詞のときです。
 一方、動詞+副詞+目的語の形になるのは、目的語が名詞、特に長い名詞句のときです。
 この形を理解するには、大島保彦『とっても英文法』の説明が役立ちます。

 

 He put the hat on his head. (彼は帽子を頭にのせた。) を出発点にしましょう。
 帽子は頭の上に置くのが自明なので、his headを省略します。すると、He put the hat onとなります。
 このonは目的語を失ったので、前置詞ではなく副詞となりました。目的語が代名詞の時の形(He put it on.)はこれです。
 しかし、目的語が名詞、特に長い名詞句が動詞と副詞の間に挟まると、putとonの関係が分かりづらくなります。例:He put the hat with a long feather on. (彼は長い羽根のついた帽子をかぶった。)
 そこで、動詞と副詞の関係が分かりやすいように、動詞と副詞をくっつけます。例:He put on the hat with a long feather.(大島保彦『とっても英文法』pp.84~86)
 
He put the hat on his head.
S+V+O+前置詞+名詞

He put the hat on.
S+V+O+副詞

He put it on.
S+V+O+副詞

He put on the hat with a long feather.
S+V+副詞+目的語

 他動詞の動詞+副詞の目的語は比較的自由に、副詞の前後に置くことができますが、できない句動詞もあるので、辞書で確認してください。

 LongmanのDictionary of Contemporary Englishは詳しい記述があるのでおすすめです。

 

4. 意味を推測するコツ

 

 さて、私は冒頭で句動詞の定義を「それぞれの語の意味から意味を推測できない2~3語の動詞句」としました。

 副詞と前置詞の意味を広げると、実は句動詞の意味を推測できるようになるのです。特に副詞と前置詞の意味を広げてあげてください。
 upは「(見えない)下から、(見える)上へ現れる」という意味を派生します。この意味からshow up(現れる)、come up with(~を思いつく)という意味が出てきます。
 come up withをくわしく説明すると、 come(来る)+up(現れる)+with(~と)=「~と一緒に現れる」→「~を思いつく」となります。
 get over(~を克服する)は、簡単です。overは「~を超える」という意味があるので(例、jump over(~を飛び越える))、何かを「超える」から「克服する」という意味が派生するのは自然です。
 ではlook forward to(~を楽しみにする)はどうでしょうか。洋の東西を問わず、前 (forward)は良いイメージにつながります。「前向き」「前途洋々」など、日本語でも「前」を含んでいる表現はポジティブな意味で使われます。 「前方に何かを見る(look forward to)」から、「何かを楽しみにする」が派生するのは、きわめて自然です。

 

5. おすすめの参考文献

 

 最後に、句動詞の意味を推測するのに、参考になる本を挙げておきます。

  • 大西 泰斗, ポール マクベイ『ネイティブスピ-カ-の前置詞: ネイティブスピ-カ-の英文法2』 研究社
  • 大西 泰斗, ポール マクベイ『ネイティブスピーカーの英語感覚: ネイティブスピーカーの英文法3』 研究社

 類書は多いですが、この2冊は前置詞と副詞の意味を広げるのに役に立ちます。この2冊をマスターして、句動詞の意味を推測してみてください。

 

まとめ

  • 句動詞は3つの形がある。
  • 語順が変わるのは目的語が代名詞か名詞化による。
  • 副詞・前置詞の意味を広げると理解しやすい。